自覚がなく、知で、プロ意識もないままに堂々としている人も多いのが、この業界の特徴なのだ。 売る側の心が、まえがなっていない。
購入者をお客さんだと思っていない。 「買わせてやる」とか「お客をあの物件にはめる」などという。
この物言いは、普通ではない。 基本的に「売ったら終わり」の業界。
「不動産」は、特に住宅はクレーム産業である。 クレームなどは、本当は正面きって誠実に対応すれば感謝されたり、ほかのお客さんを紹介してくれたりと、いいことばかりなのに、面倒だとか思って、逃げてしまう。
バカらしいことだ。 購入者のためにはならないことを、あえて、購入者のためにやっているのだと、わかりきったウソを、ツイテマンションを売っているマンション業者もいる。

ちなみに、この会社は、有名な上場会社だ。 買う側の無責任。
誤解を恐れず言えば、買う側も無責任ではないだろうか。 自分のことなのに、何も知らない、わからない状態で買っている。
不動産を買うにあたって、特段の勉強はしなくてもイイのだ、そんな雰囲気が世の中にはたしかにあった。 自分は何も勉強せず、それで欠陥住宅をつかんでしまった場合、それで気の毒なことであるが、買主にもある程度の責任はあるはず。
これからは、購入者ももっと勉強し、賢くならなくてはいけない。 とにかく、現状のままではだめなのだ。
このままではまずい、まずすぎる。 安い買い物をするならいい。
失敗したって取り返せるし、笑ってすませられるかもしれない。 リカバーできる。
不動産だけは、適当に売っちゃいけない。 やってはいけないのだ。
額が大きすぎる。 3000万、5000万なのだ。

私たち購入者の、生涯収入の数分の一を占める買い物である。 それに、住居用不動産は絵画などの美術品のように、なくてもよい、というものではない。
生活に必要不可欠な買い物なのだ。 この一世一代の買い物で失敗したら、普通の人はまず立ち直れないだろう。
多くの失敗や、後悔を、たくさん見てきている。 現実であり、事実。
こんな現状の中で、自分はどうしたらよいのか、この客観的状況のなか、自分はどのように考え、どのようなポジションで仕事をしていったらいいのか、そればかり考え続けた。 不動産業界の本来あるべき姿とは不動産業の、真にあるべき姿とはどのようなものであるか。
考えた末に行き着いた、本来あるべき姿とは、知識/見識が豊富。 倫理観が高い。
長期的展望にたつ(売ることがすべてではない)。 最も大切なのは「本当のことを言う」ということ。
あるお客さんがお店に来る。 その方に対するアドバイスは、本当は、大きく3パターンにわかれるはず。
いま買うべき。 数年後に買うべき。
買うべきではない。 いつだって、「いまが買い時ですよ」と不動産屋はいうのだ。
誰がいつ来たって、「いまが買い時ですよ」というのである。 とにかく売らなくては商売にならないから、当然だと、彼らは思っている。

さらに、その人にとってベストな不動産を紹介するのではない。 自分が売りたい不動産、不動産屋が売りたい不動産を勧めるのだ。
おかしい。 こんなことがよいわけはない。
不動産業の本来あるべき姿、不動産売買に携わるもののあるべき姿というのは、購入者の、マイホームや人生に関する考え方、要望.希望するライフスタイル.ライフサイクルこれらをよくヒアリングしたうえで、その人にとって本当の意味で最適なアドバイスをすること。 非常にシンプルで単純なのだ。
現実には、ここで問題が発生する。 「そんなことをしたら、不動産が売れなくなってしまう」と、業界側が思ってしまうことだ。
それで、小手先テクニックの営業活動をやってしまう。 あるいは、根性論の世界。
こういうのは美しくない。 不動産を勧める前にも、もっと詳細な調査をするべきだ。

土地にツイテも、建物にツイテも。 そのうえで、もっとキチンとした契約書をつくるべきである。
いまの調査レベルや、書類作成のレベルでは、お話にならない。 もう、必ず間違いが起こるようになっているクオリティーなのだ。
そういうレベルである。 「無力な購入者」対「狡猾な業者」。
そんな悲しい現実を見て、バランス的に、自分は真のアドバイスができる立場に身を置きたいと思った。 そのようなものが社会に必要だとも、切実に思った。
自分の親や兄弟や、友人にアドバイスを求められたときには、商売抜きで利害のない話をするのに、お客さんにはしないなんて、どこかおかしいはずなのだ。 無論、そのような業者ばかりではなく、きちんとやっているところも当然、ある。
そこで、私の考えを勤めていた会社に提案してみた。 社内ベンチャー的なやり方で、現在S事務所が行なっていることとほぼ同じようなことをやらせてくれと、企画書を出して役員に頼んでみたのである。
結果は、まったくだめ、思いきりボツ、だった。 理由はカンタン。
「そんなことしたら、不動産が売れなくなってしまう」から。 でも、大きな勘違いだろう。
実際はその逆なのだ。 信用され、紹介が増え、ますます発展するはずだと、私は考えていた。
当時、誰に相談しても反対ばかり。 反対理由は主に以下のようなことだ。

日本では、個人が形のないコンサルティングサービスにフィーを払う慣習は根づかない。 儲からない。
普通に不動産屋をやったほうがずっと儲かる。 K土交通省がそのようなものを認めない。
ふざけるなといいたい。 いいことをやろうとしているのに、どうしてそんな理由で反対するのだろうか。
いま思えば、私のことを思っていってくれたのだと、理解はできる。 当時の私は、反対意見を聞けば聞くほど奮い立ち、そこで会社を辞めて、独立したのだ。
元手はあまりない。 「個人向け不動産コンサルティングサービス」などという新しいことを広めるためには、基本的には多額の費用も必要。
そこで、インターネットに目をつけた。 インターネットはよほど特殊なことをしない限り、ほとんどタダみたいなものだからである。
さっそく、ホームページをつくって公開したものの、そう簡単にはいかない。 アクセスはなかなか上がらなかった。

1年目の売上は70万円。 売上が、である。
ほとんどゼロみたいな数字だった。 2年目に、経済的に大変まずい状態になった。
消費者金融でお金を2口借りたこともあったし、土手に生えているおいしそうな草を取って食べたことも一度や二度ではない。 でもホントおいしかった。
タダだと思うと、なおさらおいしく感じるもの。 油揚げを一緒に炒める。
アレは機会があったらまたやってみたい。 何しろ、仕事がなくて時間はあったので、インターネットマーケティングにツイテ24時間勉強していた。
「インターネットマーケティング」と名のつく本も全部読んではみたが、本当に大事なことは、本には書かれていなかった。 結局、自分自身が膨大な量のトライアンドエラー、実践での失敗.成功経験を積み重ねることで、ノウハウを積み上げてきた。
いまでもS事務所のホームページは私がつくっているが、現在はアクセスが1万5千〜1万8千ページビュー/1日、月間で50万ページビューある。 ちょっと自慢になってしまうが、上場企業などあらゆる不動産業者のホームページのなかでダントツの数字だ。
ネットで告知.集客をした数少ない依頼者に対し、もう本当に、ていねいに、対応してきた。

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